

※ 本文は、『くう・ねる・のぐそ』の著者、糞土師:伊沢正名さんが、糞土師としての意気込みを関係各位にあてた手紙を、伊沢さんの許可をいただき、読者の皆さん用として編集して、掲載させていただいています。
オバマ大統領登場で世界中にチェンジの風が吹いています。しかしガザへの爆撃で、子どもや女性を含む市民1000人以上の犠牲者を出したイスラエルに、オバマのアメリカはあっさり支持を表明しました。その決議にアメリカ議会で反対したのはたった一人とは! これで本当にブッシュの悪夢から抜け出せるのか、「オバマのチェンジ」に大きな疑問を感じます。とはいえ、多くの人々がこの酷い状況に変化、すなわちチェンジを求めているのは事実です。私もその一人です。
06年に糞土師を名乗った私は、それまでの写真活動から大きく軸足を移しましたが、まだまだ知る人ぞ知る日陰の暗躍でした。しかし昨年末、35年続けてきた野糞の集大成ともいえる『くう・ねる・のぐそ』を刊行し、全国に糞土師活動を広めるきっかけができました。これからは本と講演の二本立てで、写真ではついに果たせなかった「自然と共に生きるよろこび」を、さらには「ヒトとして生きる責任」を、野糞を通して広く訴えていく決意です。
しかし前途は多難です。この本をきちんと読んでもらえれば私の野糞論は多くの人に納得してもらえる自信はあるのですが、世間、特にメディアではタブー視される野糞がテーマだけに、内容に入る前に、偏見との闘いが立ちはだかっています。さらに糞土師稼業で生計が成り立つのか、つまりウンコで食っていけるのか、今がその正念場です。
じつは昨年、ついに私もワーキングプアに転落しました。この不況下では以前出した本の印税などあてにならず、新たに撮る写真はウンコやお尻を拭く葉っぱばかり。これでは当然のごとく、収入はガタ減りです。昨年の野糞講演はようやく二桁の10回に届いたものの、時にボランティアのこともあったりして、この程度の講演謝礼ではまだまだ食べていけません。まさに褌(ふんどし)を締め直している糞土師です。
ところがどっこい、『くう・ねる・のぐそ』出版直後の2008年12月21・22日に札幌で連続野糞講演が実現しました。また年が明けて2月4日には広島大学で院生相手に、さらに今月下旬には屋久島でも叶いそうです。これまでは関東から山形と大阪だけだった講演会が、一気に広がりを見せる幸先の良さです。そして3月21日にはジュンク堂書店池袋本店で、19時から、スライド上映を交えて語り尽くします。興味のある方はお出かけ下さい。
さて、糞土師活動の主眼は、自然の中で気持ち良くヒトとしてまともな生き方をしよう、という提案です。行き過ぎた豊かさや利便性の追求よりも
12月21日の講演は、環境NGOの会議で行いました(最後に余興の面白話という意味合いもあった?)。つまり環境活動をリードする人たちが対象です。そこで私は、野糞話に入る前に、30名ほどの参加者に質問を一つぶつけてみました。風というエネルギーを利用し、二酸化炭素を出さない風力発電への評価です。
ほとんどの人が高い評価をし、問題ありとマイナス評価をしたのは一人だけでした。じつは私は、ヨーロッパなどではいざ知らず、日本での風力発電は必ずしも「エコ」だとは考えていません。巨大風車を造るための資源エネルギーの消耗、風車建設に伴う森林伐採などの自然破壊、風車が壊れたり耐用年数がくれば新たなゴミを出す・・、という問題が内在するためです。
そして問題なのは善意から発した考えや行動であるがゆえに、これで環境に貢献し責任を果たしたと満足し、さらなる環境悪化を推進してしまうことです。環境問題に取り組んでいる人達でさえこうなのですから、深刻です。
それもこれも、目先の問題に目を奪われ、裏側や根本まで考えていないところに原因があると思います。ウンコの問題も同様に、食の裏にウンコがあり、その連続性(食→ウンコ→食→ウンコ・・・)こそが生命の根本なのに。
では風力発電(太陽光発電も同じ)の根本的な解決策は? 答えは簡単。使いすぎの消費電力を減らすだけで、無駄な風車を造る必要などないのです。
ところで「エコは新たなビジネスチャンス」などとも言われます。つい先日、私は原発ゴミ処分に関するワークショップに参加しました。私が入ったグループでは環境コンサルタントが司会を務め、彼は「核のゴミ処分場を受け入れれば、保証金が入って町が活性化するのでプラスだ」などと言っていました。金になりさえすればそれで良いのか? 一部の人だけかも知れませんが、環境ビジネスの危うさを目の当たりにしました。
環境でも日々の生活でも、本当に大切なものは何なのか?「くう・ねる・のぐそ」を基本に、本物のチェンジを求めていきましょう。
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