著者・南木佳士氏は、「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞受賞後、医業と作家業を兼ねる過酷な日々のなかで、突然、パニック症候群におそわれ、やがてうつ病を発症します。
生き延びることでせいいっぱいだった苛烈な日々をおくるなかで「阿弥陀堂だより」などの名作を発表しますが、心身の不調は、依然、回復の兆しを見せません。
ところが10年ほど前のある日、偶然「山」と出会い、それまで感じたことのない「快」を感じ、以降、今日に至るまで、地元信州の山々を中心に多くの山行を重ねてきました。それらの記憶は小説やエッセイで作品化され、2008年に発表された『草すべり その他の短篇』(文藝春秋)では、泉鏡花賞を受賞、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞をダブル受賞しました。
本書は、南木氏が2008年以降に登った、北アルプス・笠ヶ岳から槍ヶ岳、浅間山、南アルプス白峰三山などの山行経験をもとに、著者初の試みである紀行文=山行記というスタイルで記された、はじめての紀行文集となります。
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